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悠久のティアブレイド-Fragments of Memory- エクリプス編感想 [悠久のティアブレイド]



大事に、大事にプレイしていたら、すっかりフルコンプするのが遅くなりました!!



悠久のティアブレイド -Fragments of Memory-

悠久のティアブレイド -Fragments of Memory-

  • 出版社/メーカー: アイディアファクトリー
  • メディア: Video Game




悠久のティアブレイド Flagments of Memory

プレイし終えて思いました。

中村D作品はロマンやな……。

猛獣使い~はちょっとプレイする機会を失ってしまっていますが、グラハといい、トリキスといい、今作ティアブレといい……やっぱりロマンを感じますね。どこか夢があるというか。

中村さんの作品はどの作品もその、根本にある描きたいものがFDまでブレることがないので、本当に素敵ですね。大好きです。
もちろん好みもあるとは思うのですが、私は中村さんが持つ世界観であったり、こだわるポイントがとても合うので、ティアブレイドは本当にFDまでまるっと楽しかったですね。

なによりも、年表システムですか。

素晴らしかったですね。
おそらくファンからの「年表ないの!?もっとユニオンの歴史について知りたい!」っていう願望を、期待以上の方法で叶えてくれたんですよね?……最高でした。

何が素晴らしいって、単なる“SSの寄せ集め”じゃないってところですね。
それは内容について、ではなく、完全に提示の仕方、見せ方の巧さだと思います。

自由度も高い。プロローグこそ固定ですが(そこもすごくよかった、始まるぞ……!感がすごくあったので)自分の気になるエピソードからチョイスしていける。そして、そのあと開いたエピソードに関連した新たなエピソードが開いていくんですよ。しかもそれが時系列順じゃない。

きちんと、プレイヤーが呼んだエピソードの中で知識がなくて「?」と思ったところに関するエピソードがピンポイントで開いていく。またそれを開けば新たな真実が開示されていく……これを繰り返していくうちに、かつての戦争がいったいどういう側面をもち、誰がどういう想いで行動していたのかが少しずつ見えていくんですよ……!!!!

そして、現在へとつながっていく。

これをロマンと言わずしてなんというのか。


しかも語られるのは歴史。そう、すべて、終わった物語。
時代の終焉、世界の滅亡。
大切なあの人や彼が、未来を掴めなかった、もうどうすることもできない過去なんですよ。
そんな、すべてが終わりへと収束していく物語をひも解いていると思うと、そこがまた切ない。

……って、もうそれ乙女ゲームのFDちゃうやん。

ごもっともです。
しかもそれくらい、甘さがない……wwww

年表を開いていくエクリプス編は特にトゥルー後なので、きちんとくっついてるのはロウと姉イヴくらいなんですよね……。

かといってフューチャー編(後日談)が甘いかといわれると。
そうでもない。

いや、むしろたぶん……甘くない。
それでも、安易にイチャイチャさせるだけにしなかったところを称賛したいし、どの物語もきちんと本編のルートを迎えたからこその新たな試練、決意の物語だったと思います。

だから大好き!!!


さて!
前置きはこれくらいにして、ざっとネタバレ感想いきましょうかねー!
ほんっと、久しぶりにきちんと面白かったです。
グラハの移植もいつまでも待ってますよ……♡






<ユニオン滅亡期>

なによりも素晴らしかったのは、さきほども書きましたが、ゆっくりと、しかし確実に訪れる世界の終焉を空恐ろしく演出している点でした。

決して“美しい物語”ではなかったところがとても好みでしたね。
そして勧善懲悪の物語でもなかった。

誰が悪いと言い切れないのが戦争。
誰がなんのために始めたのかがわからなくなるのが戦争。
誰がどう犠牲になるのかもわからなくなるのが戦争です。

なぜアルカディアが、本編で人類は1となるべきだという答えを導きだしたのか。
そのすべてがこの年表のなかに、歴史に、詰め込まれていた。乙女ゲームとして発売されるFDで、そこに焦点をあててくれるとは正直思いませんでした。

愛国心だけを胸に暗躍し、手を汚し続ける神殿騎士団ガルガドの親友ユーリ。
いつか自分が傍を離れる時が確実にくることを悟って、友であり弟子である王子を一人前にすることに必死になるフォウ。
暗い過去のすべてを振り払うように強くなり、誰よりも美しい志で国のために、親友の姫を命に代えて守った少女エルゼ。
彼自身も思うことはたくさんあったと思うけれども、多くを語らず仲間のために最後の最期まで尽くした副神官レイ。
娘夫婦の不審な事故死にとらわれることなく、孫娘のために寝殿騎士団の柱となり続けたガルガド。
神殿騎士団との癒着を疑われたり、女技師であったからこその揶揄に堪えながら、自らの命を削るようにして功績を残したアイナ。
少女の両親が死ぬ原因を作ってしまった罪から自らが決して許されることのないように、愛することも、愛されることからも罪悪感を覚えながら戦場へと赴くギル。

一方で、公明正大な指導者という顔の裏に、ユニオンが富を独占する仕組みを守ることだけに執心していたローラントやユニオン内部の権力争いが描かれるなか、何も知らされないまま、次期指導者とされてしまう息子ロウ。また、ユニオンの暗部を隠すパフォーマンスとしてちょうどよかった美談として利用されてしまうイヴ。

誰かの目線で、誰かについて語られるフラグメント。
そのなかに誰もが、その時、口にしなかった愛情や、辛さや、悲しみや不安が表現されていて、何度か泣きそうになりましたね。
そして。
一番のキーパーソンは、のちのデゾイドである、「ユーリ」その人でしょう。
彼のエピソードを軸にまとめられているせいか、バラバラの年代の話でもとてもわかりやすかったし、ここがエクリプス編とののりしろになっていて、構成も素晴らしかったです。

彼だけがすべてを知って死んだ。
なんのために命をかけて戦ったのか。なんのためにこの手でたくさんの命を葬ってきたのか。
その絶望に苛まれて死んでいく、彼だけが味わった虚しさに想いをはせると胸がきゅっと苦しくなりますね。
FDから登場したにもかかわらず、すごい感情移入できちゃうのは、本編でも語られていたからガルガドの親友だからでしょうかね。


<エクリプス>

それらの過去を踏まえての、現在のエクリプス編ですよ。

泣けたわ……。

あの時絶望を味わった彼がデゾイドとして、人類を守る盾として最後の最期までティアブレイドにのって過去の遺産である暴走ナノマシンと戦う展開は……なんてロマンティックなんでしょうか。(しかもエルゼの10番機が元になってるとか)

黄金時代最後の忘れ形見AIエリシオンが暴走ナノマシンのすべてを引き受けて太陽と一緒に燃え尽きようと覚悟を決めているにもかかわらず「もうこれ以上二度となにも失いたくないから」と暴走ナノマシンをともに受け入れるロウと姉イヴは……なんてロマンティックなんでしょうか。(あのスチル最高)

その2人の、人類の歴史を大きく左右する選択をすべて受け入れてくれる仲間たちと妹イヴの絆は……なんてロマンティックなんでしょうか。(みんな最高にかわいくてかっこよくて頼もしい)

そして、暴走ナノマシンの問題を先延ばしにして、考える時間を作ることを“答え”とした最後のクリエイターロウと姉イヴたちの時代のずっと、ずっとずっと……あと。
また、長き眠りからさめたティアブレイドのもとで、少女と少年が出会うプロローグで物語が終わっているところも……なんてロマンティックなんでしょうか!!!!!(しかもギル似)

そこにはロマンしかなかった……。(何回言うねん)

FDだから。おそらくエリシオンに「ごめんね」と、安直に犠牲にして世界は救われましたよ!!!ってな終わりでもよかったはずなんです。
なのに、その道を選ばなかった物語がとても好きですね。

その道を選んでしまうと、ここまで2人のイヴと、彼ら4人と1人のAIが歩んできた道がウソになってしまう。誰かの、何かのためを思って、大切なものを犠牲にしてきた過去を、また繰り返してしまう。
最後のクリエイターたちが出した決断は、彼らが“人類”というものに全幅の信頼を寄せていないとできなかったものだと思います。

2人がそれをできるのは、彼らがいたから。
どんな時でもあきらめなかった、命を分けた最愛の妹と、その家族となった者たちが必ず未来をつないでいく、そう信じられるから――。

ひとつの世界の歴史を何万年というスパンで構築した物語だからこその答えがそこにはあったように感じて、クリアしたあとの喜びもひとしおでした!!

<黄金時代>

この年表の素敵なところは、人類のお話でありながら、AIの物語という側面も持ち合わせているところですね。ロストテクノロジーを手にした人類が繁栄しては衰退するのを繰り返すだけではなく、それを献身的に支えてきたAIの存在もしっかり描かれています。もちろん……悪魔的な演算をして人類にとって最凶の答えを出したのもAIであったわけですが。

AIに翻弄される人類と、人類に翻弄されるAI。
クレイドルとアルカディアの2人でしか対比できなかったAIのAIであるがゆえの個性が、エデンやエリシオン、クレイドル・ゼロなどいろいろなAIの登場により、さらに際立っていました。

正しい答えを導くために、よりよい答えを出すために。
確実性や正確性を求めて研鑽されてきた技術力によって誕生したAIが、ディープラーニングによってさまざまな個性が生まれ、個体差はありますが人間に近づいていくものが現れる……というのは、なんという矛盾なのでしょうね。
やっぱりこういうテーマっていろいろなところで描かれますが共通して言えることは……切ない。

切ないですね。

生まれた意味に縛られているからそうなのか、それとも自身がそう思うからそうなのか。ただ、彼らに共通しているのは“人類”の未来のためにそれを正しいと思って実行したところなんですよね。自分たちの繁栄のためじゃなく、自分たちの幸せを願っていたわけじゃない。そんなところが、やっぱりどうしても切なかったです。

あと、黄金時代のアギ、ロードリック、オフィリアの、なんだか三角関係を匂わせるアレもはっきりとさせてないところがニクいですよね……。人の歴史なんて結局のちに英雄だのなんだのいわれてても、そういう小さい人間関係のアレから始まってたりするんだよね……っていうところが、すごいおもしろかったですね。ある意味、攻略対象たちがみんな性格的にスカっとしてる感じの子たちが多いから……wwww


ちょっと長くなりましたので、個別感想はまた後日☆




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