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鏡界の白雪 墨府刺君 感想 [鏡界の白雪]


私が乙女ゲームにのめり込むきっかけとなったのが、ハートの国のアリス(まだターン制だったPS2)のボリス=エレイというキャラクターだったのですが、刺君くんは、まさに彼に感じた萌えと同様の高揚感をくれたキャラクターでした。
ほんっとうにありがとう……!!!!(内容的に、というよりも、個人的な感覚の話です)

私はなんて幸せなんでしょう。
自分にとってど真ん中なストーリーを演じる中の人が大好きな声優さんだなんて……。

やー、もう、楽しすぎて最後、終わらせたくない感でいっぱいでしたわ。

それでは!
墨府刺君、ネタバレ感想です。






☆彫り師という仕事

まさかの刺君くん、ハイスペック男子だった……!!!!
(でも確かに刺君くん、しゃべり方がふわっとしてるだけで頭は確かに悪そうじゃない)

彫り師という時点で、そうかなとは思っていたのですが22歳だしな若すぎるよなとか思ってたら、持ってたし医師免許。
日本の医師免許は絶対にこの年では取れないので帰国子女か……??どこの医師免許だ……インドか?
すごいな、なんだよそれ……もっと年いっててもよかったんじゃないの(笑)

と、このようにリアリティはないんだけれども、親の意向を汲み免許はとったけれども「痛みを知らない自分が、患者の痛みを治すことは出来るはずがない」と、真面目に考えこの道に進んだのだと思うと、彼の人間性がそこに表現されていていいですね。(建前っぽいところもあるからいいよね)

でももちろんそれだけじゃない。

痛みを知らないからこそ、誰かが痛がる様子を見て、痛みを視覚的に知覚していたい。
そんな思いもあるんですよね。

もうドSなのかドMなのかはっきりしろよ。

というのは冗談で、個人的見解としては壊音くんとは真逆で、究極のドMが刺君なのだと思います。
彼は、ドMなのに、ドSのフリして生きてるんですよね。
その方が、わかりやすいから。
だから、わざとそういう風に振る舞います。こういうところになんも考えずにストレートにモノをいうキャラクターだと思わせておきながら、「実はいろいろと考えて生きている」ことを滲ませていて、素敵。

そういえば、ラストにようやく初めて自分の身体に柘榴の花式図を彫ってたけれども(あのシーンはすごく素敵だよ痛そうだけども)この子はこの年で独立してスタジオもてるくらいの技術をどこで身につけたんだろうね……?インドか?(笑)インド便利だな。
ちょっと彫り師としては若すぎるなあ、ほんと。
過去が謎すぎて気になりますわ(笑)

いや、でも新しいよね、ナイスチャレンジだと思います。
ちょっとマニアックなオリエンタルっぽさが全体的にあって面白かったな。


☆生存の実感と痛覚

「鏡界の白雪」はいわゆる二段オチというか、両想いになったら突き落とされる、みたいな展開に快感を覚えてしまう。
刺君くんも例に漏れずでした。ああ、面白い。

生きている実感を得るために、他人の痛みを視覚的に知覚したくてたまらない刺君くん。
彼は、自分の仕事だけでは飽き足りなくなると、喧嘩をわざと買ったり売ったりして、相手を痛めつけることで、その実感を得ようとします。
しかし、刺君は末白を痛めつけられたことをきっかけに「痛み」を知覚していきます。

「あなたが怪我をすると、私が痛い」
末白がしきりに繰り返した言葉の意味を、おぼろげに掴んだ刺君は二度と喧嘩をしないと末白に誓います。
しかし、彼の中では、それ以上に「痛み」を覚えたことへの快感が勝ってしまった。
彼は末白に内緒で、今まで以上に痛みを求めるようになります。

わああああ……!!
おまわりさん(世裏さん)仕事しろよ!!(頭を抱える)

まあ世裏さんもいろいろありそうなので、そのあたりはおいといてなんですが、この辺りがなんか狡猾なんだよね。刺君って。
自分が被害者になるように仕掛けてるけれども、煽ってるのは彼自身。
道端で寝るような人なのに、暴力沙汰で警察にお世話になることはない様子。
というか、相手を悪い意味でちゃんと選んでいるところとか、ほんと、頭は悪くないなあと思います。

痛みがないと生きている実感がない。
それに共感するのはとても難しいけど、理解はすることが出来るかな。
痛覚とは、おそらく「自分の身体を守る」ためにあるものでしょうしね。
痛いからやめるし、痛い思いをしたくないから危険なことはしない。
でも、痛みがなかったら、何をしても痛くなかったら、骨折しても、何針も縫うほど傷口が切れて血だらけでも、そこに「違和感」しかなかったら。
結構ぞっとすると思いませんか。

だからこそ、彼は自らの身体を守ろうとしないし、どれだけ「自分の身体を気遣うフリ」をしても、痛みを感じる人との差は埋まらない。
「痛み」を共有できないことが、何よりも恐ろしい。
その恐怖から解放されたいから、それを求めようとするんですよね。
そういう感じで描かれているのがとても興味深かったです。


☆ないものねだり

痛みを知っている私たちには、彼が「痛み」を切望するというという感覚を想像するしかありません。
痛いということは、どういうことだろう。
もうそんなこと考えたことないくらい当たり前の感覚ですもんね。

説明の仕様がない。
誰も説明できない、彼に与えることのできないことだから、彼があそこまで執着してしまう。
理解はできますね。誰もがもっているのに、自分だけがない。
「もっていない」というだけで憧れてしまう。
痛みを感じられないことが原因なんじゃない、その痛みに対する「憧れ」こそが彼の狂気であり、そこを断ち切らないと痛みを知覚できるようになっても無駄だったことを表現したシナリオ運びは素晴らしかった。

涙が出そうになったのは、鏡界世界に関与するあの人たちと取引をして、末白自身が刺君が他人に与えた「痛み」をすべて受け止めることを条件にして、刺君に痛みを与えてあげるという一連の流れです。

絶対に喧嘩しないで。
痛みを求めないで。
そう約束したはずなのに、末白を襲う連日の激しい痛み。

彼が中毒症状のように痛みを求めていることを間接的に知り、絶望していく末白の姿は、痛々しくてみていられませんでした。

この仕組みを鏡界側との交流でぽーんと知らせちゃうあの超展開は相変わらずなんですが(笑)でも、真実を知った時にようやく刺君が、本当の意味での「痛み」を理解し、罰を受けようとするところはすごくよかった。

あれだけ痛みを欲しがってた人が、痛みを受けて喜ばなくなる。
末白を苦しめているものが、まぎれもない「痛み」だと初めて理解した瞬間だったのでしょうね。
末白を抱きしめながら、血と涙でぐちゃぐちゃになりながら断罪する様子は、なんというか、ざわっとました。
ざわっと。


☆痛みをあげるかあげないか

手首は、欲望。
そうだね、彼は痛みが欲しいからね、もうそのまんまだね。

このルートも他のいくつかのルートと同じで彼の「痛みを欲しい」という願いを、噛ませることによってある程度共有する必要があります。
でも、それに取り込まれすぎたら鏡界行き、というね。
ひー、鏡界行きだけは勘弁ですわ……永遠に痛いなんて最悪だ……やだ……!!!!
痛いのやだーーーーー!!!

痛いといえば、もう松岡さんの痛い演技が痛すぎて(イタいってことじゃないよ)ひいいいいいいってなりました。
ほんと、相変わらずすごいですよね、ああいう時の演技ね……。

ああ、そうだそうだ。
純愛エンドの、あのエンドロール前のキスですか。
あれに、萌え転がりました。

なによ、あのスチル……ずるいわ……!!!!!!!!
末白ちゃんの「もし刺君さんが痛みを知りたいっていうなら教えてあげます」かーらーのー!
……ため息が出ました。ほんと。
自分から唇に噛みつきにいく末白ちゃんが大好きです……!!!!!
でも口切れてるから相当痛そう……それがいいんだろうな、ドMもいいとこだなほんとな。


ほんっと楽しかった。
刺君くんのストレートな言葉にどぎまぎする末白ちゃんもすっごい可愛かったし、もう私は幸せです……!!
個人的にはなんでもないシーンだけど、刺君がバイト先にやってきて、末白のバイト姿を褒めるところがとても好き。あそこのあたるちゃんの反応がものっそい面白いよね(笑)
わかるわ、これぞ。
リア充爆発しろ!だよねwwwww


(以下、ハトアリボリスを攻略したことがあるアナタにしかわからない感想です)

ここはおまけなので反転しますね。
興味がある方はどうぞ。


ほんと、私は刺君の向こうにあのチェシャ猫を見ていたような気がします。
命の大事さを知らないチェシャ猫と、痛覚がないから己を守らない刺君。
なんでオレが怪我してるのにあんたがそんな顔をするの?
設定は大きく違いますが、大切な人だから傷ついてほしくないという想いが届かない歯がゆさを描いている点は共通しているかな。
快楽主義的、刹那的な生き方も似てますよね。
あなたがあなただから傷ついてほしくないのに、あなたが好きだから自分を傷つけてほしくないのに。
ヒロインが傷つけられることにはとても敏感なのに、彼女たちが自分に向ける感情にはひどく鈍感。
そういうところに、萌えに萌えまくった当時、そして今。
いくら年月がたっても、私の根本は変わってなかったねwwww

極め付きは、あの壁ドンのシーンでしょうか。
「ねえ、ドキドキした?」
あのシーンは、ボリスがアリスに銃を持たせて悪戯をするシーンと近いものがありますよね。
余談ですが、ここの台詞の畳みかけ(+確実に1台詞ずつ耳元に近づいてくる演技も素晴らしかった)は最高に美味しかったです、ごちそうさまでしたァ!!!

ふと残忍な笑みを浮かべるところも似ていたように思うなあ……。刺君くん、字面でみると何でもない台詞なんだけど、すごいイイとこで明らかに口角上がっている言い方とかしてくれるから、たまらんかったですわ……。


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コメント 4

みらるか

インド!!インド!!
素晴らしく便利ww 大爆笑です

あの壁ドンはね・・ 卑怯ですw
さきほど呟きましたが、私的鏡界3大卑怯の1つですよ

教えていただいたBADEND見てきましたけど
人間が道を誤る瞬間は、本当に紙一重って感じがめちゃめちゃ良かったです
by みらるか (2016-05-30 12:00) 

ガツみ

はじめまして!いつも感想を参考にさせてもらっています。
刺君くんルートの全体の感想は違うのに、一番好きなシーンが同じで、おお!と思い勇気を出して初コメントです。
刺君くんルートの個人的な感想は以下のブログに書き散らかしています。
http://s.ameblo.jp/gatsun-to-mikan/entry-12165464901.html
またおじゃまさせてくださいね。
by ガツみ (2016-05-30 22:01) 

あかり

>みらるかさん

こんばんは!

インドwww
いや、妄想でしかないけど、もうインドで何かあったとしか思えないステータスでしょ???(笑)
高すぎるねん、チートすぎるねん。

鏡界三大卑怯wwwwww
確かに、壁ドン、あれずるいですよねー、ほんっとずるい。なんか面白そうだからとかいうやつでしょ、ほんと。確かキャストコメントで、松岡さんが、男なんて所詮こんな考え方みたいなことをおっしゃってたのは、ここのことなのかなって漠然と思いました(笑)あんまり考えてない、っていうねwwwそれがまたすごくよかったけど(笑)

ねー!あのバッドエンドは必見ですよね!!
私も教えてもらえてよかった!結構その方法で他のルートやると違うバッドが見られて面白かったです(この記事の刺君くんは、殴られて死亡エンドしか出てこない気がしますが)

また遊びにきてくださいねー!!



by あかり (2016-05-31 20:12) 

あかり

>ガツみさん

はじめまして!いつも遊びにきてくださりありがとうございます!!

おお、そうでしたか!!
お好きなシーンどこだろうと思って、ガツみさんの感想拝見させて頂きました。
あのあたるちゃんのシーンですねwwww

いいですよね、あそこ。
第三者の目が入ると、魔法がかかったように「可愛いよ」というなんでもない台詞が萌え台詞に変身!!!
私もとってもあそこ大好きです(*^^*)

私も、また遊びに行かせて頂きますね!
コメントありがとうございました!
by あかり (2016-05-31 20:22) 

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