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殻ノ少女 感想 [その他一般ADVなど]

特にやりたい乙女ゲーもないので(嘘、下天FDやりたい)オススメしていただいたイノセントグレイさんの「殻ノ少女」を早速プレイしました!!!



殻ノ少女 DVDPG 通常版

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  • 出版社/メーカー: ぶる~べり~そふと
  • メディア: DVD




Innocent Greyが贈るサイコミステリィADV第三弾 「殻ノ少女」好評発売中!


まずはネタバレなしの感想をば。

相対的にとても面白かった。

ミステリとしても、物語としてもとてもクオリティが高いです。
若干推理ゲーム、としてみるならばアンフェアな部分も多いのでアレかもしれませんが、推理パート、捜索パートという、自分の手で重要証拠であったり重要参考人をチョイスできるシステムがしっかりとあって、その点でミステリ好きの心を擽るものがありました。

さらには、BGMや美しいスチルで醸し出された作品全体の雰囲気もとても素敵なゲームですね。
ある時は「未成熟な少女の妖艶さ」の美しさに見惚れ。
ある時は狂気の沙汰としか言いようのない残虐なカットに目を背け。
それらに添えられる、儚くありつつも心に棘を残していく珠玉の音楽。
視覚的にも聴覚的にも、とても刺激されました。

しかし。
どうしても私自身辛かったのは、コレです。

あまりにも物語を構成している「材料」が、「魍魎の匣」にそっくりであることです。

プレイ後調べてみると、どうやらこの作品、京極作品のオマージュだそうで、納得、納得なのですが、どうも「魍魎の匣」に思い入れが強すぎていけない。

それこそパラノイアではないですが、殻ノ少女の登場人物たちにどうしても「魍魎の匣」の登場人物たちの生き様を、人生を重ねてしまいます。
その点がものすごく純粋に楽しめなくて辛かった。
「魍魎の匣」を構成するパーツとかなり近いのですが、組み上げ方が違う「殻ノ少女」。
その中でも「殻ノ少女」と「魍魎の匣」の一番大きな違いは、やはり主人公時坂と朽木冬子が軸になっている、というところですね。

ミステリにおいて、探偵とは基本的に「第三者」の立場から物語をひも解く必要性に迫られます。
もちろんスタンダードな場合、ですけれども。
例えその事件の当事者であっても、大抵の場合探偵である彼、彼女は基本的にどの登場人物からも一線置いた存在のように描かれています。
しかし、「殻ノ少女」における探偵、時坂玲人は第三者どころか、完全に彼は中心人物の一人です。
この辺がやはりADVゲームであり、さらに彼と惹き合う少女、朽木冬子との物語という見方が出来る物語にしてあるところがイノグレさんの腕だと思いましたね。


それでは、次からはネタバレ感想になりますので畳んでおきますねー(*´ω`)



まず最初に。
私は個人的に「魍魎の匣」という作品にとても思い入れが強いです。
だからこそ、楽しめた部分もあり、楽しめなかった部分もありました……ということを書いておきたいと思います。

一部「絡新婦の理」など他作品の片鱗も匂わせている「殻ノ少女」ですが、やはりどうしてもベースとなった物語を知っているからか、「初見なのに初見じゃない」という、意味のわからない現象が私の中で起こってしまいました。

殻ノ少女の軸でもある、フレスコ画「殻ノ少女」が出来上がった背景にある物語を、ある意味で「すでに知っている」し、葛城シンの「ネアニスの卵」「シェオルの殻」が意図する物語を、詳細は違えども「すでに知っている」ので、その分でどうしても感動が薄れてしまいましたね。

それでも、結末は京極作品とは全く異なるものですし、一見関係のない登場人物たちの過去というピースがすべて綺麗にハマって収まっていく様子はとても気持ちがよかったです。また「朽木冬子の依頼」と「女学生バラバラ殺人事件」が徐々にリンクしていく様子の描き方はとても素敵でしたし、引き込まれました。



・パラノイアと、朽木冬子の尊さ


ラストに向かって物語が積み上げられていく感覚はとても面白かったです。
しかし「狂気」の描き方としてはどうしても中途半端さが否めないため、個人的にそこまで冬子に対して思い入れがありません。
というのは、あまりにも間宮心爾の物語がフィーチャーされてしまい、いつの間にか冬子が間宮心爾の物語の歯車と化してしまう印象をもってしまったのですね。

間宮心像が、間宮心爾が、水原未央が、六識命がどうしてそこまで「それら」に妄執したのか、神聖視するようにしてそれらを崇拝したのかは重要ではありません。「動機」というものはミステリにおいて、あってないようなものという考え方のタイプなのでそこは気になりませんでしたが、他の「狂気」に関しての演出は結構あっさりしていた印象を持ちました。

例えば、水原未央は旧性が間宮だ、という事実と佐伯教頭からの情報だけで、時坂はあそこまで自供を引き出してしまいますが、個人的には水原透子目線から見た母親の異質さをもっと表現した上であそこまで持ってきてほしかった、というような感じですね。

せっかく「透子が冬子に成り代わる」というエンドがあるのですから、あそこでもっとじわじわきてほしかった。
(個人的にこのエンドはとても好きです)
どうして血がつながった娘よりも、言い方は悪いですがお腹を経由しただけの子の方に執着したのか。
この辺りの、理由ではなく「違和感」を表現してほしかったかなあと思います。

また透子についてもかな。
冬子になぜあそこまで固執するのか、わかるんだけれどももう少し欲しかったかなと思います。
彼女もまた、冬子に妄執している人物の一人なので。

数人の「パラノイア」がこんがらがって、このような複雑で、数奇で、常軌を逸した殺人事件の数々を引き起こされました。そして、その顛末として明かされるのは、ピラミッドの頂点に朽木冬子という中性的な少女が、本人があずかり知らぬところで君臨してしまったという、ひどく屈折した様式美です。

だからこそ、トゥルーエンドの冬子は尊い。
それをもう少し深く味わうためにもっと狂気が読みたかったなあと思いました。
(というのは、どうしてもあの葛城シン=久保俊公+αを望むからなのでしょうね……)


・冬子は絶対不可侵な存在であってほしかった


成人男性向けゲームなんだからしょうがないでしょ、といえばそれまでなんだけれども、私は時坂さんに冬子を抱いて欲しくなかった。(そのエンドもあるにはあるけれども)

亡くした婚約者に操を立てろとはいわない(というかもうその概念すら彼にはない)けれども、冬子だけは侵してはならない存在、と設定されていて欲しかったです。
中性的な立ち振る舞いに加えて、キリストのように単為生殖で生まれた存在である冬子。

美砂の代わりでも、「かあさん」の代わりでも、誰かの理想の姿としてでもなく。
等身大の朽木冬子自身を愛したのは、おそらく時坂ただ一人でしょう。
その彼女を、時坂にだけは神聖視して欲しかったと思うのは、私のわがままかな。
もちろん冬子はそれを望んでいないし、冬子の幸せにもつながらないことはわかってはいるのですが、だからこそ切なくて、苦い恋を強調できるような気さえしてしまう私は、冬子ちゃんにとっては酷い大人ですね(笑)

他の少女や女性たちとは(実の妹以外はだいたい)いろんなことをきっかけにして肉体関係を持っている描写があるからこそ、冬子は特別でいてほしかったのですね、私は。
あのトジ子ですらあったんだもん、私びっくりしたよ……(笑)
どんだけよ、時坂さん……。


というわけで、ここは完全に自分の好みの問題ですねwwww


・トゥルーエンドの「瑠璃の鳥」の意図するものは


すべてが終わった後に時坂が見に行く、冬子が自由の象徴として描いた「瑠璃の鳥」。
このルート、事件の結果としては、何も解決していない。
ただ、時坂はこの物語にあった背景を解き明かしただけなのです。
冬子は行方不明、さらに被疑者は生き長らえるためとはいえ、四肢のない冬子を連れて逃走。
そんなルートエンドに、このラストです。

冬子は、何から解放されたのかはおぼろげに理解できるのですが、四肢を失ったまま、妄執に囚われた男にどこかへ連れていかれる、その彼女の行く先に、一体何があるというのでしょうか。

あまりに残酷ですが、ある意味で彼女は解放されました。
彼女が生きる上で最低限の「質量」になった朽木冬子。
それはある意味で、極限の自由です。

しかし自由と幸せはイコールとは限らない。
イマイチすかっとしない、後味の悪いトゥルーエンドは正直好きではありませんが3部作ということなので続編を楽しみにプレイしたいと思います。

非常に個人的な意見で申し訳ないのですが、このすべてから解放された冬子が、この出来事があったことによって時坂の傍で生きられたという結果なら……よかったですね。
冬子と「共に」旅をするのは、時坂ならばなおのこと美しかったなあと思うのですが、まあしょうがないかな。


ミステリ的なフェアさを求めてしまうともうそれこそ、何故二回目のバラバラはあの4人じゃないといけなかったのかとか、六識がどのようにして日下達彦を「コントロール」したのか(きちんと六識が背景にいるのでは、と思わせる描写はあったけれども)、若干あやふやなところが多くて言い出したらキリがないわけだけれども、これだけの登場人物をちまちまと繋げていくのは至難で、センスの良さの為せる業ですね!


いろいろと書きましたが、とても面白かったです。
久しぶりにサイコミステリを味わえて、久々にとても充実したゲームプレイでした。





タグ:同人ゲーム
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