月影の鎖-錯乱パラノイア- 雑感&榛名望感想 [月影の鎖-錯乱パラノイア-]
月影の鎖をはじめましたー!
とってもシリアス、と伺っていたので、どんなもんかなーって思ってましたが。
うん、重い☆\(^o^)/
榛名、純愛&依存ED回収後の雑感なのですが……。
重い、といいますか、なんだろうな……。
月影の鎖、というタイトルは本当に、なんて言い得て妙なタイトルだろうと思います。
私、重いのは個人に大丈夫なんです。
乙女ゲームで重い、ってなると大抵はヒロインor彼の境遇が重いとか、世界観が重いとか、はたまた宿命を背負うとかね、そういうのが多い中ですね。
ある意味、今の世でも、すぐそこに転がっていそうなリアルな重み、というのは……なんというか、重いというより……ちょっと、薄ら寒くなるような感じがしますね。
閉鎖された狭いコミュニティの光と影を描き出している部分はとてもお話としては面白いと思いました。
暗い部分ですね……人間社会の。
徐々にエスカレートしていく民衆心理が丁寧に描かれていて、ものすごく楽しめました。
が。
やっぱりですね。
そこがひとつ、重い要素です。
あと、なによりヒロインですか。
実の母親に愛してもらえないまま両親を失い、「もらわれっこ」として生きてきためぐみちゃん。
亡くなった養母の小料理屋を継いで、「よそ者」と影で言われながらも、お世話になった先代の店を女将として、その若さで切り盛りする女の子です。
実の子じゃない私を愛してくれて育ててくれたのだから、その恩を返すために一生懸命店を守る、という生き方。当然といえば当然なのかもしれません。
血のつながっていないとはいえ、優しく明るいお兄ちゃんもそばにいる。
穏やかに毎日が暮らせれば、御の字。
なんというのでしょうか。
ある意味、最初から、この設定からして。
緩やかに自我の死へ臨むような……そんな女の子なんですね。
いや。
もうすでに死んでいるのかもしれません。
「こうあるべき自分」を被って、繕って、それをまるで息をするように出来てしまう女の子。
誰かのために、何かのために。
例えば、長女だから。
例えば、親の跡を継がなければいけないから。
例えば、私がいなければ家族が崩壊するから。
私はこうでなければいけない。
私はここに鎖でつながれている。
めぐみちゃんみたいな雁字搦めな女の子は、きっと少なからずこの世界にいて。
さらにめぐみちゃんのような考えで生きている女の子は、世界中にいると思うのです。
ある意味では、ものすごくリアルです。
彼女の心の描写は、もうすでにフィクションとは言えないなと感じます。
狭いコミュニティが徐々に暴走していく展開もまたそうなのですが……、個人的には、ヒロインはかなりネックだなと感じました。
プレイされる人によってはすごくキツいかもしれませんね。
そんなめぐみちゃんが、恋によって生き方を見つけていくお話だとは思うのですが……ね。
まあそんな話は置いときまして。
その、いろいろな面における重さが。
なんだろうな……?
それが、あまり恋愛に生かされてないないな?という印象があります。
ここまで重たく切り込んだなら、依存や純愛EDももっと突っ込んでもよかったんじゃないかな?
そういう人のルートももしかしたらあるのかもしれませんが……。
鬱を通すなら、とことんまでやってほしいなぁと思ってしまいましたね。
攻略はわかってくれば簡単。
なんだか、ルートに入るのによく失敗しますけど、いつものタクヨーさんのハイクオリティシステムなのでさっくさく!です!!共通ルートは短いし、なかなか鬱ヒロイン嫌じゃなければ、大丈夫かなと。
……うーんでも、同じタクヨー作品なら。
1ルートやっただけの感想でも、断然死神と少女の方が私は好きですね。
まあでも、あれは乙女ゲームというのに語弊がある気がしますが(笑)
長々と書いてしまいましたが、とりあえず榛名望ルート感想いきたいと思います!
たぶん、ぐだぐだなので、お付き合いいただける方だけどうぞ!
………。
難しいです……。
今回、これほど感想書くのが難しいゲームとは思わなんだ……。
というのが感想だったりしますが(笑)
とりあえず、書きたいとは思うのはね……。
やっぱ、世の中、人を狂わせるのはお金だということですよねぇ。
お金さえあれば、こうはなってないからねぇ。
お金というよりもなんだろう。
社会的な生活が脅かされること恐怖、というのかな?
観光業が成り立たなくなって、駐屯地誘致を余儀なくされるけれども、住民は反対。
それに対して「別の案」として提示するのが、水道に税をかける水道税。
またまた反対されて、ということをずるずるやっているうちに、市の財政が立ち行かなくなって、島に入ってくる物資の購入制限やらなんやら……で、住民が経済的にも精神的にもゆるやかに疲弊していくさまを描いているこの作品なのですが。
その苛立ちの向かう先、島民感情のはけ口になるのが、われらがヒロイン、めぐみちゃんなわけで……。
(もうこの時点で、甘さや優しさ、柔らかさを求めてプレイされるスタイルの方は無理だと思うww)
本土出身で、ちょっとばかり村八分にされている異国の血が入った猪口家と仲良しで。
ちょっとばかり賢いから、物価が高騰するまえにまとめ買いしていたくらいで。
そんな理由で、です。
……本当に、こういう非常に「些細」な。
でもこの閉鎖されたコミュニティの中ではものすごくデリケートな要素に抵触している、この感じ。
ものすごく、ああああ……ってなります。
このね。
誰も悪くない。悪いのは頭の悪い市長。
悪いのは、地震の後に十分にお金をくれなかった国。
私たちの生活が悪くなったのは、ぜーんぶあいつらのせい。
みんなが口々にいってるんだから絶対そうだ。
でも大丈夫。
英雄の神楽坂さんがなんとかしてくれる。そうして景気は好転して。
みんなが幸せになって、駐屯地を誘致しようなんて馬鹿なこといってる深海は追放される。
島は私たち、俺たちのもの。
……ああ、気持ち悪いです。
世の中みんながそうだとは思いません。
でも、往々にして、こういうことは起こり得ますし、誰の心にもあると思うのですこの感じ。
現実に、どんな小さいコミュニティであっても。
最初から、めぐみちゃんに好意を寄せていて、軽口を叩いたり、冗談ばっかり(といえどもおそらく本気)言って、めぐみちゃんに軽くスルーされている、素性のわからん店の常連客の男の子。
そんな彼。
実は「駐屯地誘致」をすすめるコンサルティング会社の社員なんですが、彼の担当は情報操作。
そう、こうして負の民衆心理を煽って、駐屯地誘致を受け入れさせるように仕向けているのも、また彼なんですよ。
煽りつつも、釣られて暴走する住民を、馬鹿だなあって。
最低だなあって心で思いながら。
「淋しいのなら、その身も心も慰めてあげよう。
それとも痛いのがいいかい?」
と、冗談交じりに港で迫ったときに垣間見えた、心の深淵にある闇に惹かれためぐみちゃんにだけは、幸せになってほしくて。
非常に複雑な反応をたびたびするんです、榛名くん。
めぐみちゃんを「鈍色の雪の上にある金魚」と例える榛名くん。
(金魚は雪が溶ける前に死んでしまう)
相手の記憶に残らずに受け入れられる恋よりも、記憶に残る失恋がいいと訴える榛名くん。
騙される人間が騙されたことによって幸せなら、それでいい。
幸せに嘘も本当もない、という榛名くん。
そんな、どこか退廃的なことをいいながらも、小料理屋の女将であるめぐみちゃんが、あることないことを客に侮辱されている様子に激昂してしまう、榛名くん。
それに対して、ありがとうとめぐみちゃんが告げると。
「庇われて、嬉しいなんてふざけたこといわないで」
です。
私、無理です!
榛名くん、無理です!!!!(涙)
わかるんです。
理解はできます。
同じように恵まれない親を持った彼は、同じ匂いのする人間として、めぐみに惹かれた。
そして、この最悪な島の中で一人だけ。ただ彼女を、どうしても守ってあげたい。
でも、それは罵詈雑言から、理不尽や八つ当たりから、彼女を庇いたてることではない。
ただ、一緒に、時間が癒していく類の痛みをやり過ごすことだと頭ではわかっている。
でも、そう仕向けているのは実は自分の会社、引いては自分であるという、ジレンマを抱えているわけです。
キツいです……。
面倒くさいですこういう人……。
どこか、この独善的な価値観といいますか……すごくどこかのダイヤの兄ちゃん(CV日野さん)と被ります(笑)
猪口さんのいうように、その庇われた一瞬によって救われることもあるかもしれないのに、結果的にみてマイナスのことをしたと自分を責めて、せめてせめて、距離を置こうとするんですよね……。
うーん……。
そうして、距離感に悩んでいる間に、榛名くんが「些細な喧嘩」に関わったことによって、さらにめぐみちゃんの立場は悪くなり、店は休業にまで追い込まれ、ついには青年団の神楽坂さんがやってきて、めぐみちゃんに告げるのです。
住民を刺激したくはないから、できるだけ外出を控えてもらえるとありがたい。
仕事がない。
お金もない。
兄は仕事で忙しく、一人静かな部屋で。
代わりに外から聞こえてくる嫌味、誹謗中傷。
そうして、なんのために生きているのかわからなくなる。
無価値な自分に絶望する日々。
もう、こうやって書いてるだけで、……ああああ(頭を抱える)となります。
負の連鎖はどこかでなんとしてでも、断ち切る必要があるのですが(この場合だと兄に頼って島から逃げ出すとか)もう、人というのはえてして……。
落ちた時には、底にいることさえ気づくことが出来ないのです。
頭上には空があることすら、忘れてしまうのです。
こうして、ひとつ。
また、ひとつ。
新しい鎖にからめ捕られていくさまは、ある意味、美しくもありますが。
そんなめぐみちゃんに存在価値を見出してくれるのが榛名望です。
雨が降る中、奪うように家からめぐみちゃんを連れ出して。
初めてであったときに言った冗談を港で繰り返す望。
淋しいのなら、その身も心も慰めてあげよう。それとも痛いのがいい?
それに対して。
あの時は流していためぐみちゃんが。
ある時、「愛してる」と訳された文章として榛名くんに紹介された言葉で返すめぐみちゃん。
「今宵は月がきれいですね」
それに対して、同じように「愛してる」と訳される言葉を返す榛名くん。
「僕は死んでもいいよ」
この告白シーンは、とても二人らしくて素敵でした。
暗い、暗い海に向かって降る雨の中で。
甘く掠れた声でささやかれるのは「心中しようか?」
でも、死ぬのはなんの価値もない私だけで十分だ。
愛するあなたを巻き込むわけにはいけない、と一人身を投げるめぐみちゃん。
BADだと心中してしまいます、が。
私、ぶっちゃけこのBAD、いちばん好きです(笑)
依存EDよりも、純愛EDよりも。
リアルだったら目を覚ませ!死ぬのは最後の手段だろう!!ぶんぶん!(涙)っていいたいけど。
フィクションなら、これはこれで綺麗です。
精神的に疲弊しためぐみちゃんが手っ取り早くすべてから逃げるには、これしかないからです。
まあでも、心中してあげられるくらいの愛が榛名くんにあるのなら、島から連れ出してやれよwwwというのが本音ですけど。
一人で死ぬなんてだめ、と引き上げられるめぐみちゃん。
そして、二人はお互いの想いを確認しあい、傷つけあうのは目的ではなく、未来で幸せを得るための手段なのだと、誓い合うわけです。
この、後半からの、ね。
今までは客として、対価を払って接待してもらっていた彼がですね。
彼女に対して無償の愛を欲するまでになるという流れは、とても好感が持てました。
最初は、ごはんを食べるついでに、からかってちょっとかわいい反応が見られればそれでよかった。
でも、それがもっと内面を知りたくなって。
彼女も少しずつ心を許してくれるようになって。
怒って、嘆いて。離れて。でも会いたくて。
雨に打たれて、入水して。
そして、そして。あれよあれよという間に。
彼女の部屋で息もつけぬほどの口づけをせがむようになってしまう、というこの、流れですね。
なんて蕩けるような流れなのでしょう。
まあなんというか、ずるいんですけどね……(笑)
彼もまた、深海という男に、「同情・共感」という名の鎖でつながれているようなものなので……結局同じことを好きな女にするのかよ、という風には客観的にはどうしても見えてしまうのですが。
でもこの、こずるい、浅ましい感じが結構好きです。
恋愛、きれいごとだけじゃ、好きな人の心に自分の鎖をつなげませんから。
……うんでも、個人的にはムリなのですがねwww
で、いちばん私が個人的にいただけなかったのは、ラストです。
結局、この駐屯地誘致。
榛名くんのコンサル会社社長の裏の顔が武器商人(軍拡主義ではなく、ただの軍需狙いだった)という、つまりは金ですよ、というところに落ち着くのまではよかったんですが。
純愛ED。
結局、榛名、青年団、めぐみちゃん兄妹のもろもろ協力プレイで、深海が武器商人であることを暴いて、島から追放して、青年団が島を立て直して、ちゃんちゃん♪
っていうのが、ものすごく……えええええ……ってがっかりしました。
フィクションであるにも関わらず、ここまで理不尽な世界を構築されているのなら、エンドもそれでいいと思いますのに……。結局深海を、「悪」としてすべてを終わらせてもいいの??
と拍子抜けしてしまいました。
幸せにもいろんな幸せがあると思うのです。
結局めぐみちゃんがラスト本土に行って、兄と離れて幸せに榛名と暮らすのであれば……何もかも放置して自分の幸せを願ってしまうエンドであってもよかったのじゃ?とも思うのです。
それこそ、すべてをその時に手に入れられる状況なんて、ないです。
時間が解決してくれる問題があったり、離れてみて、わかることがあったり。
そういう、どこか「痛み」を残したEDを期待していたのですが……。
社長が武器商人である証拠品を抑える、抑えられない、というところのシナリオから、急にストーリー展開の軸が変わってしまったような印象を受けてしまって……。
まわりが変わらないのなら、自分を変えるしかない。
というルートもあってよかったんじゃないかな(他にあるのかな??)とは思ってしまいました。
依存ED。
これの方がまだ、納得はできました。
証拠品を結局手に入れられずに、めぐみちゃんが自分に負けてしまうEDです。
これはわかります。
証拠品をつかむ=輝かしい私と望くんの未来、だと思っていたのに、それすらもう何だかわからなくなるほどに、社長の言葉に心が疲れてしまっていることに気づかされ、一番大事な局面なのに。
ふと。
「なんで、こんなことしてるんだろう」
って思っちゃうんですよね。
そうして、榛名くんだけがいれば、あとはどうなろうとかまわない、とキレちゃうめぐみちゃんの、愛に欲望に覚えるED。
うん、あのうつろな目で榛名くん抱き寄せるスチルはものすごく妖艶で甘美でした。
それだけのことをしてきたから許されるとは思います。
そして、それに応えてあげる榛名くんの気持ちもわかりますしね。
お互い以外に望むものなんてほかにないでしょう、っていう結末はそれはそれで綺麗なものです。
二人が二人だけの幸せを願って、何が悪いのか、というくらいの開き直りっぷり。
それはそれで幸せです。
うーん……。
だらっだらと書いてしまいましたが、こんな風にあかりは思いました。
みなさんはいかがでしたでしょうか??
2013-04-20 23:03
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0