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死神と少女 蒼&フルコンプ感想 [死神と少女]




死神と少女、フルコンプ!!

…一気にたたみかけるようにプレイしちゃって、また体調悪化しちゃったよ…(涙)

PSPゲームってすんごい疲れる…からちょっとずつやらなくちゃ、って思ったんだけどね…!でも、面白くってとまらなかったよ…!!

ひとつの物語として、ひとつのゲームとして、とっても完成度は高い…けど。
これは、オススメだからみんなやってみ!!とは言えないゲームですね(笑)

まず、乙女ゲームじゃない…気がするww
…というのも、正直ここのシーンに萌え!!ってところが個人的に全くない。
…キスシーン(それ以上を仄めかす部分)もキャラによってはあるけど…、どこかすごく刹那的で…退廃的でもあって…どんな恋愛っぽいシーンも、萌えにはつながらない…(笑)

あと、真の王子様が、決まってるところもね…。
彼しかあり得ないからね。彼しか本当の意味では少女を救えないので。
いろんな解釈はあれど、模範解答がかっちり決まってるというところも、乙女ゲームぽくなかったかな。

それから、ヒロインの紗夜ちゃん。
個性が強い子は大好きなんだけれども、彼女の過去や彼女自身の色が、凄惨かつ強すぎて、嫌いな人はものすごく嫌いだと思います。ボイスもあるのも納得。
(私個人的にはいらなかったなぁ…。ヒロインは妄想でカバーしたいタイプなんで)
下手をすれば「ただの不幸ぶってる精神弱い子じゃん」…て思われかねないなぁと心のどこかで思いましたね。まあ、でも、「孤独に押しつぶされそうな精神的に弱い子」じゃないと、この話は成り立たないし、少女が死神たちに恋をすることもないですね。

しかも、フルコンプして「あとがき」まで見ないと、結局すべてがわかったことにはならない、このもやもや感が嫌いな方もたぶんムリ。

マイナスになりそうなところはこんな感じかな?
でも、萌えにこだわらず、謎めくお話を考察していくのがお好きな方や、シナリオ重視でノベルゲームを選ぶ方、幻想小説がお好きな方、なんかはすごくハマれるんじゃないかなーと思いました。

かくいう私も、もうどっぷり浸かった浸かった!
本当に、面白かったです。
やっぱりTAKUYO作品好きだわー!
公式で売ってる桜のブレスレット可愛いしww
でも、七葵が好きな私としては、秋桜のブレスレットの方が欲しい…ww(ないけど)


それでは、蒼ネタバレ感想、いきます♪







蒼は自らは「死神」と名乗りながら…本当はただの人間なんです。
死神になりたい、人間。
彼もまた「死神と少女」という絵本に救われた人間だったのです。

ここよりも遙か西の国。
他の人よりちょっと容姿が特殊で、感情が希薄な少年は、両親が亡くなっても泣かなかったので、周りから気味悪がられていました。
皆はいいます。「あいつは死神のようだ」
そんな時、少年は「死神と少女」の絵本に出会います。
本の中の死神は、少女と出会い、旅をしていくうちに変わっていきます。
そんな死神に、いつしか憧れるようになった少年。
少年はある時、この本をくれた人に尋ねます。
「どうやったら、死神になれるのか」
その人はいいます。
「死神を殺せばいい」

時は経て。
彼はようやく死神を見つけるのです。
黒い眸、黒い髪を持つ少女の傍によりそい、少女の兄を騙る死神を。

相対する、「死神」と「死神になりたい」青年。
青年はなんのためらいもなく死神を殺そうとするのですが、死神は人ではありません。
逆に死神に、記憶を消されてしまいます。

そして。
記憶を消されてもなお、運命なのか――。
彼は少女に出会うのです。



正直、この設定はずるいと思いましたがね…ww
…もうね、蒼こそがメインで、この物語は蒼と紗夜ちゃんの物語なんですよね。やっぱり。
十夜兄さんには申し訳ないけど。(私の解釈ですけどね)

紗夜ちゃんは、蒼に出会って、本当の「死神」に出会うんですよね。
幻想の死神ではなく…!

あの、十夜兄さん→蒼へと、愛情が変化していくところは、すごく…すごく、胸が痛かったです。あの、自分で自分をだまし続けることが出来なくて、苦しむ紗夜ちゃんはものすごく痛々しかった…!!
ずっと記憶の底に封じ込めてきた「死神と少女」の本に、日生の計らいでふたたび出会うことによって、彼女は「兄は存在しない」ことを知ってしまうんですが。
兄さん兄さんと口ではいいながら、蒼を求めてしまっている自分を怒り、詰って、いっそのこと蒼を遠ざけてしまおうとする、あの選択には…もうね、なにも言えない…。それほどまでに、十夜は紗夜のすべてだったんだなぁと…。兄は存在しない、ってわかってるのに、自分が否定してしまったらもうそこで十夜が「終わる」というのが、怖くて怖くてしかたない!!というのが、すごく伝わってきましたね。

現にあの、十夜が消えてしまった…あの時の悲鳴は、すごかった…!

また、十夜も十夜でわかってるんですよね。
紗夜を幸せにするのは、自分じゃなくて蒼なのだということを。
だから、蒼に選ばせる。
「死神と少女」の本を彼に差し出して、彼女の「死神」になるのか、ならないのかを。
十夜は、紗夜の傍にただ、ただいたかっただけなのに。
でも、もう時計の針は動き出してしまったから、十夜の出来ることはただひとつしかないんですよね。

自分が消えた後、紗夜が泣いても、涙を拭う誰かが傍にいてくれるように。
彼女の愛情が蒼に向かっていることを、とっくの昔にわかっていた…というかなんというか。
もう、十夜兄さんの気持ちを想うと、すごく切なくって…切なくって…!!


十夜が消えて(紗夜ちゃんが兄が存在しないことを認めて)、残り少ない命を彼にささげようと彼がいるであろう時計塔に、走り出します。
彼が死神になれるように。
少女の命を奪えば、死神である十夜の存在は、本当の意味で「終わり」を迎えるからです。
時間がないから、早く殺してとせがむ彼女の首を手にかけながら、なぜか蒼は涙を流します。
「これはなんだ」
意味がわからない蒼はうろたえます。

どうして死神になりたいのか。
彼女は最後に問いかけます。
私にはなにもないからだ。
彼は答えます。

私にはそうは思えません、と少女は言います。
私のこの手にはなにもない。
そうして開いた手に、少女は手のひらを重ねます。

ほら、あなたの手には、私の手がある。

そうしている間に、時計塔の鐘が12時を打ち…。
彼女から生気が引いていきます。

そうして、彼は、彼女を失ってから気付くのです。
紗夜を愛していたことを。
そして、「死神と少女」の物語に隠された本当の意味。

そう。
自分は自分でしかない、ということに。


ラストシーンは本当に綺麗でしたね…!!
「私は…私だったのか」というところは、もう本当に…(涙)
なんだろう、わからないはずなのに、わかるというか。
本当に、巧いですね。
すべてのルートが、このラストシーンのためにあるような気さえするほどの、美しさです。

いや、正直ね。
蒼の想いも、紗夜の想いも、良く分かりませんよ…!!
だって、すごい本気でこの二人は絵本の中の幻想を追い求めてたんだなぁ…ていう(笑)
はっきりいって、最初から自明だったと思うんですよ(笑)傍からみたらね。…たとえば日生先輩から見たら。
死神なんて存在しないだろうし、死神になりたいってったって、なれるわけないじゃん、だって人間なんだからさぁ…!!みたいな(笑)

でも結局は「私は私」という結論を出すために、自分自身を認めることができるまでに、そして、自分自身がよりかかれる相手を見つけるために、ここまで苦しむ、彼と彼女の物語の、美しいこと、美しいこと。

いやー、ほんと、参りました。
たいして、何か実際に物理的な環境の変化とか、あるわけじゃないんです。
いつもと同じように、この世界の日常は続いている。
でも、「幻想フィルター」がぽろっととれた時の、劇的な物語の変化の仕方には、完敗。
すごかったですね。
素晴らしかったです…!!!

そして。あとがき。

やっぱり、やっぱりやっぱり臥待さんがすべて仕組んだことだったんですね…!!!!(涙)(正直、キャスティングが田中さんっていう時点で、ただの本屋さんじゃないって思ってたけどww)それをちゃんと、確認しにくる七葵先輩が素敵すぎて、倒れそうになりました。

記憶を失った蒼の保護者、という役割をしていた臥待堂主人、臥待春夫。
彼こそが、「遠野十夜」であり、「死神と少女」の作者なんです。

遠野紗夜をモデルとして書かれた「死神と少女」。
彼女が自ら創り出した幻想「死神:遠野十夜」を壊す役目を蒼に与え、蒼を孤独から救う役目を遠野紗夜に与えたこの物語。

「少女が幸せになれれば、なんでもよかったんだよ」
というあの、臥待さんの言葉には、なんかぞくっときましたね。
すべてを知って、すべてを分かっていて、この物語を書いていたのは臥待さんだったと。
日生の話はもちろん、ともゑの章も、ルイスの章も、ヴィルヘルムの章すらすべてが、この物語の一部だったわけです。

いうならば臥待さんはこの世界の神「書き手」です。
そして、この世界のどの物語にも属さない「桐島七葵」は、私達と同じ立場「読み手」。

桐島七葵こそが、一番「ファンタジー」な存在だったというわけです。
読み手側の人間なのに、作品の中の世界に生きているわけですから。
だから、「見えないものがすべて」見えるんですね。
読み手ですもんね。
見えないことなんてなにもない。
でも、伏線を張って隠された真実に行き当たるには、考えなければならなかったんですね。その行間を読んで。

桐島の「不自然な点はたくさんあったはずなのに、俺としたことが見落としていた。もっとはやくに気付いてあげられるはずだった」という言葉は、このゲームのプレイヤー誰しもが思ったことでしょう。

死神という存在は、「誰か」に愛してほしくて創造された紗夜の幻想にすぎない。
その誰かを用意するために、臥待さんは蒼、改めイリヤに本を渡し、「死神になるには死神を殺せばいい」なんてことを言ったんです。
うまくいきすぎなような気はしますけど、書き手ですからね、臥待さんww
なんでもアリでしょうなww

あと、蒼の章も、黒の章もラスト、息を吹き返した少女と「死神」のシーンがあるのですが、彼女の病状も臥待さん曰く「思い込み」によるところが大きかったようで、死に至るほどではなかったんですね。個人的には…死ぬ方が綺麗なような気はしたけど(笑)そこは救いようがないかww

そして、最後の言葉もいいですね。
物語は終わり、という臥待に対して。
「書き手が続きを書かなくても、物語は終わらない」
その七葵の言葉に「君なら終わらせることができるのにどうして」と問う臥待に、「あいつがせっかく幸せになったのに、可哀想じゃないか」って言うんですよね。

…からの。
臥待「彼女のこと好きだったのかい?」
七葵「ノーコメントだ」
には、このゲーム一、きゅんきゅんきた…!!!!!

あの即答さ加減に…!!!
…うん!でも七葵先輩にはずーっと片思いでいて欲しいよ!!!
そして、死神と少女の物語を読み続けてあげて欲しい…!!
自分の物語も、ちゃんと進めてほしいけどね!!

ほんっと、素敵なお話でした!!
ぜったいFDとかないお話だけど、素晴らしかった…!!


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